季節の一枚

特別編


戦争の傷跡
戦争の傷跡 《平成28年12月中旬》
前回(十一月下旬)の信州訪問以来、撮影らしい撮影が皆無となってしまった為、これと言った作品が残せませんでした。 よって今月は特別編として、過去のこの季節の作品を選んでいます。
一昨年、主に金銭的理由から遠出を控えた時期がありまして、自宅から手軽に通える便利さから、好んで幾日も訪れた豊橋市やお隣の田原市。 この作品の撮影地、高師緑地はその目的地の一つ。
一帯は第一次大戦の俘虜収容所、後に旧陸軍の高師原演習場となり、戦後に緑地公園へと整備されたとの事。 付近には戦争当時の面影を留める施設もちらほら現存していたりと、案外楽しめる地域なのですが、ここに植えられている黒松の森。 近寄って観察すると、ハート形に樹皮を削られた幹に気付きます。 無関心で散策していると気付かない様な物なのですが、その数は案外多く、探し出すとこちらにもあちらにも・・・  これは一体何?
正体は、戦時中の石油燃料窮乏対策として、陸軍が松脂の利用を画策した跡なのだそう。 今ではそんな状態でも戦争継続か?と呆れてしまうのですが、戦争末期の“総力戦”的認識では当然的対応策だったのでしょう。 研究もそれなりに進んだ様ですが、そもそも素人考えでも採取量は知れているし、それを精製するのだから尚少ない・・・  航空機への実用等への成果は出せない内に終戦となった様で、詳しい記録はそれ程残っていない、地元でも知る人ぞ知る無名の戦時遺産。 けれどもこれは正に、当時の惨めな国情を伝える“戦争の傷跡”。
今やほとんどが“平和ボケ”世代と言って差し支えは無いと思うのだけれど、否応無く暗黒の時代を生きて行かなければならなかった人々からの、無言の叫びに耳を傾けてみたい・・・


この作品の詳細な撮影情報等をお知りになりたい方は、こちらからご連絡ください。

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平成30年11月 高原の村 大俯瞰 2018

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